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異母兄弟がいる場合の相続について

カテゴリ: その他

天候も暖かくなってきており、名古屋でも春の到来を感じる今日この頃ですね。

本日は、異父異母兄弟の相続について解説していきたいと思います。

 

今の日本の法律では、基本的に嫡出子も非嫡出子も関係なく父親の遺産は均等に配分されることとなっています。

そのため、異父異母兄弟がいる場合であって、既に被相続人と疎遠になっていたとしても、親の相続の際には、異父異母兄弟にも当然に相続権が認められるのです。

 

しかし、異父異母兄弟の相続分が、法定相続分からさらに2分の1とされる場合があります。

 

それは、兄弟姉妹が亡くなった際の異父異母兄弟の相続分です。

 

例えば、父親は前妻との間に子Aがおり、その後再婚して後妻との間にBとCが生まれたとします。

その後、父親と後妻が亡くなり、Bが結婚をしないでなくなった際には、法定相続人はAとCになります。

その際、通常の兄弟姉妹であれば、Bの遺産を2分の1ずつ相続しますが、異父異母兄弟の場合には2分の1について、さらに2分の1を乗じて得た部分が法定相続分となるのです。

したがって、Aの法定相続分は4分の1、Cの法定相続分は4分の3となるのです。

 

このように、日本の法律では原則として同順位の相続人は同一の法定相続分で分けることとされていますが、例外的に異父異母兄弟の場合には法定相続分の格差が生じるのです。

 

このように、異父異母兄弟にも法定相続分が認められているという点にも注意して相続対策をしていきましょう。

 

それではまた次回お会いしましょう。

 

遺留分侵害額請求権が行使される可能性がある場合の遺言書

カテゴリ: その他

暖かな日が多くなってきましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

本日は、相続放棄と特定遺贈について解説していきたいと思います。

 

1 特定遺贈と包括遺贈の違い

 まず、特定遺贈とは、遺言者が、自身が死亡した際に、特定の財産を相続人又は第三者に対して渡すことを内容とする法律行為です。

 この対立概念の包括遺贈は、遺言者が、自身が死亡した際に、特定の財産ではなく、財産の割合を示して相続人又は第三者に対して渡すことを内容とする法律行為です。

 両者の違いは、遺言者の債務を承継するか否かという点にあります。

 すなわち、特定遺贈の場合は、原則として特定された財産のみを取得し、債務を承継しないということが可能となっているのです。

 反対に、包括遺贈の場合には、承継する遺産の割合にしたがって債務を承継することとされています。

 

2 特定遺贈と相続放棄

 では、多額の債務を有する遺言者がプラスの財産のみを相続人に特定遺贈し、相続人は、特定遺贈された財産のみを承継し、マイナスの財産を相続放棄することは可能なのでしょうか。

 結論からすると、マイナスの財産を相続放棄することは原則としてできないと考えるべきです。

 なぜなら、類似の事例で、被相続人の財産を債務者である妻が一切相続せず、債務者でない子供が一切の財産を相続することを内容とする遺産分割協議が行われた際、その遺産分割協議が詐害行為に当たるとして取消された事例があるからです。

 この事例では、プラスの財産を特定の相続人に寄せて、財産を保護しようとする考え方に対して厳しい評価が下されたと評価することができます。

 したがって、裁判所はマイナスの財産のみを相続放棄することについても否定的評価を下す可能性が高いと考えるべきです。

 

3 まとめ

 以上のように、特定遺贈を使用して、債務の承継を行わないようにするのは難しいことが分かりました。

 債務の承継と相続対策を同時に行うことはかなり難しい問題となりますが、事前に債務整理等の方法で対策をとっていくのが良いのではないでしょうか。

 債務整理については、お気軽に弁護士に相談することをお勧めします。

 

 では、また次回のブログでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

成年後見人の選任申し立てと鑑定手続き

カテゴリ: その他

寒暖差の激しい季節が続きますが、どのようにお過ごしでしょうか。

お久しぶりです、弁護士の林です。

 

本日は、成年後見人の申し立て手続きとその注意点について話していきたいと思います。

 

1 成年後見人の申し立て手続きの全体像

 成年後見人の申立て手続きの全体像は以下のとおりです。

 ①申請書類の提出

 ②即日面接

 ③鑑定

 ④親族への意向確認

 ⑤選任

 これらの手続きの中でも、慎重に対応しなければならない点は、①申請書類の提出で添付する医師の診断書③鑑定手続きです。 

 

2 ③鑑定

 成年後見人の申し立てを行う際、裁判所は成年後見人を必要とする方の認知能力等の状態を確認する手続きとして、「鑑定」を行う事が認められています。

 この鑑定の結論によっては、後見ではなく、保佐人や補助人が選任される可能性があります。

 保佐人や補助人は成年後見人よりも権限が狭いため、包括的にサポートを行いたいのであれば、成年後見人の選任を目指すのが合理的といえます。

 そのため、成年後見人を選任してもらう確率を高くする方法を考える必要があるのです。

 その方法の一つとして、医師の診断書を詳しく書いてもらい、鑑定手続きの省略を目指す方法があります。

 以下、医師の診断書の作成について詳述します。

 

3 ① 医師の診断書

 申請書類で医師の診断書が要求される趣旨は、成年後見人を必要とする方の判断能力を確認するための資料にする点にあります。

 そのため、この医師の診断書に記載されている内容によっては、上記③鑑定手続きを省略する事ができる場合があるのです。

 では、③鑑定手続きを省略できる診断書とは、どのような診断書なのでしょうか。

 それは、「明らかに鑑定の必要がないと認められる」内容を含んだ診断書を指します。

 具体的には、診断書の病名が、

  ①脳血管性認知症

  ②アルツハイマー型認知症

  ③遷延性意識障害(いわゆる植物状態)

  ④重度の知的障害

  ⑤脳出血後遺症

  ⑥脳梗塞後遺症

 等に該当する場合には、「明らかに鑑定の必要がないと認められるとき」に該当するとされる事が多いようです。

 さらに、その病名を診断するにあたって、長谷川式認知症スケールやMMSE等の、定型的な審査項目を記載していくタイプの診断書を添付すれば鑑定省略される可能性が高まります。

 以上の事から、主治医に診断書の記載をお願いする際に、判断が難しい項目について、多少重めに記載してもらえるよう頼む事が合理的ですので、忘れずに伝えておきましょう。

 

4 まとめ

 今回は成年後見に関して、医師の診断書と鑑定の省略について、確実に成年後見人を選任してもらうには、

 ① 鑑定の省略を狙う

 ② 鑑定の省略には医師の診断書の記載に注意する必要がある

 この2点に注力する必要があることを書きました。

 

5 おわりに

 寒暖差が激しい日が続きますが、皆様体調にお気をつけてお過ごしください。

 

自筆証書遺言保管制度の活用法について

カテゴリ: その他


皆様初めまして、弁護士法人心所属の弁護士の林唯です。

私は、事務所内で相続分野を専門的に担当する弁護士として活動しております。
 
このブログでは、相続分野の法的な制度や、権利等について解説していきますので、宜しくお願いいたします。

本日のテーマは、「自筆証書遺言保管制度の活用法について」です。

自筆証書遺言を作成した際、自宅に遺言書を保管しておくことで、遺言書が無くなってしまうことがあるのではないかという心配をなされる方がいらっしゃいます。
  
その際に、活用できるのが「法務局」に自筆証書遺言を保管できる制度です。

この制度では、法務局に自筆証書遺言を預ける際に、一人の人物を指定して、自身の死亡届が提出された際に指定した人に通知が行くように設定することができます(これを「指定者通知」とよびます。)。

この指定者通知には、さまざまな活用法があります。

例えば、2人の息子がいて、自身の相続人となる場合について考えてみましょう。

この内、一人(以下「A」)が重度の難病にかかっており、遺産を残して面倒を見てほしいが、もう一人の相続人(以下「B」)が遺産を散財する可能性があるとしましょう。

このような場合に、一つの解決策として、遺言執行者を弁護士等の第三者に指定して、指定者通知をその弁護士に指定しておくことで対策をとることができます。

実際に、遺言者様がお亡くなりになった際に、死亡届が役所に提出された段階で、役所から法務局に対して遺言者様死亡の報告がなされます。

そうすると、法務局は弁護士等に対して指定者通知を行うことになるので、弁護士等はすぐさま遺言執行者として口座の凍結、分配を開始することができます

この方法によって、Bの散財を防ぐのと同時に、Aに必要な財産の確保を行う事ができるわけです。

その後、遺言執行者となった弁護士等は、遺言者様が後見人や訪問医療サービス等の事前に契約しておいた会社に対して、Aさんの看護を委託して任務を終了させることができます。

 

この例からわかる通り、相続人の中に不安な行動をとる恐れがある方がおり、かつ、他の相続人ではそれに対処できる可能性が低い場合には、「法務局」による「指定者通知」の制度をうまく活用することができます。

なお、公正証書遺言にはこのような通知の制度がないことから、「指定者通知」が法務局における遺言書保管の特徴的なメリットと考えてもいいでしょう。

以上が、「自筆証書遺言保管制度の活用法について」です。

それでは、次回のブログでまたお会いしましょう。

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