国庫帰属制度の添付書類について

皆様、お久しぶりです。

弁護士法人心の林です。

 

前回に引き続き国庫帰属制度についての解説を行っていきます。

今回のテーマは「添付書類について」です。

 

1 提出書類

 国庫帰属制度の申請を行う場合には、管轄法務局に対して書類を提出していく必要があります。

 提出書類は以下のとおりです。

  ① 承認申請書

  ② 承認申請書に記名押印した人の印鑑証明書

③(対象の土地の名義変更をしていないとき)承認申請者が所有者または共有者であ   

 ることを示す書類

④ 対象の土地の位置及び範囲を明らかにする図面

⑤ 対象の土地の形状を明らかにする写真

⑥ 対象の土地と隣接する土地の境界点を明らかにする写真

⑦ 申請が承認された時に所有権移転登記がされることを承諾したことを証する書面

 

2 解説

⑴ 承認申請書

ア 必要事項

 承認申請書には、以下の事項を記入し、申請者または法定代理人が記名押印する必要があるとされています。

 ① 承認申請者の名前

 ② 承認申請に関わる土地の所在、地番、地目及び地積

 ③ 承認申請に係る土地の「表題部所有者」または「所有権の登記名義人」の氏名

  及び住所

イ 調査方法と根拠資料

 上記の情報を記載する場合には、対象不動産の管轄法務局に行き、「登記簿謄本」を取得することで正確な情報を得ることができます。

 登記簿謄本の取り方については、法務局のこちらのホームページが参考になります。

 登記簿謄本の取得の際には、窓口に行く以外にも、郵送やオンライン請求が可能ですので試してみるのも良いかもしれません。

 

⑵ 承認申請書に記名押印した人の印鑑証明書

 承認申請者の印鑑証明書の提出が必要とされているのは、本当に承認申請者が「国庫帰属制度」を利用したいという意思を持っているかを判断するためです。

 

⑶ (対象の土地の名義変更をしていないとき)承認申請者が所有者または共有者であ   

 ることを示す書類

 具体的には、「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」や、「遺産分割協議書」が該当します(戸籍謄本はお近くの市役所で取得できるようになりましたので一度確認してみるのも良いかもしれません(戸籍謄本の広域交付制度)。)。

 例えば、お亡くなりになった父親の土地について相続開始後すぐに国庫帰属したいと考えた場合について見ていきましょう。

 この時、お父様がお亡くなりになったばかりなので、登記簿に記載されている所有者は「お父様」です。

 お父様は既に亡くなっていますので実質的な所有者は相続人となりますが、登記簿の名義変更を行うには「相続登記」を行う必要があり、登録免許税や専門家報酬がかかってしまいます。

 そのため、実質的な所有者や共有者がが明らかな時には「相続登記」をしなくて良いことになっているのです。

 

⑷ 対象の土地の位置及び範囲を明らかにする図面

 具体的には、登記所に備え付けられている地図の写し(14条地図や公図)や国土地理院が公開している地理院地図などに申請者が認識している土地の位置及び範囲を示したものが必要となります。

 

⑸ 対象の土地の形状を明らかにする写真

 具体的には、対象地の全体を撮影した写真で、⑷の位置関係と範囲が分かるように撮影された写真である必要があります。

 これは、国庫帰属制度の対象地が現在どのような状態なのかを確認するために必要とされている写真です。

 

⑹ 対象の土地と隣接する土地の境界点を明らかにする写真

 具体的には、境界標やブロック塀、道路のへりなどの簡単に分かる目印となるものであればよいとされています。

 上記⑷の図面に示された範囲等が分からない場合には、適正な写真とは認められないので注意が必要です。

 

⑺ 申請が承認された時に所有権移転登記がされることを承諾したことを証する書面

 国庫帰属を承認する判断がされた場合には、所有権が国に移ることになりますので、その登記を行うことを承諾する書面の提出が必要になります。

 

このように、国庫帰属制度の申請に当たっては、必要となる書類が多いですので、難しい場合には、専門家に相談されるのが良いでしょう。

 

それでは、また次回お会いしましょう。

次回は、「国庫帰属制度の不承認事由」について解説していく予定です。

 

 

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