相続税の債務控除と特殊清掃費用について
皆様、お久しぶりです。
弁護士兼税理士の林です。
本日は、相続税申告において「特殊清掃費用が債務控除できるのか」という点について、検討していきたいと思います。
1 債務控除について
相続税の債務控除は、「被相続人が死亡したときに現に存在した被相続人の債務(借入金や未払金など)で確実と認められるものです。」とされています(相続税法基本通達14-1)(参照サイト)。
なお、債務の金額が確定していなくても当該債務の存在が確実と認められるものについては、相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけを控除するものとするとされています(昭57直資2-177改正)。
2 特殊清掃費用との関係について
他方、特殊清掃費用は、被相続人の死亡後、長期間に渡り発見されなかったことで、部屋を汚損、破損してしまう事で発生する費用です。
この時、特殊清掃費用は、被相続人の死亡後に発生した費用であるため、「現に存在した被相続人の債務」とは言えないのが原則となります。
また、被相続人が賃貸借契約を締結した際に、原状回復義務を負っていた場合であって、「債務の金額が確定していない」場合に当たるとしても、「相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけ」が対象となるので、相続開始当時の現況はまだ死体が液状化しておらず綺麗な状態の部屋と考えられるので、この場合にも当たらないと考えられます。
これらの点から、実際上、特殊清掃費用は原則として債務控除できないと考えることが妥当といえます。
3 例外的な場合
もっとも、例外的に特殊清掃費用であっても債務控除できる場合があるとすれば、賃貸借契約書や入居契約書にその旨が明記されている場合が考えられます。
これらの書面に、契約当初からその旨が記載されていれば、抽象的にではあるものの、債務は確実に存在していたといえるため、「現に存在していた被相続人の債務」であると明確にいえます。
また、その支払いは確実に発生するので、その点でも「確実に認められるもの」といえると思います。
ただ、「相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額」という点を満たしているかという点については、疑問点が残りますので、契約書に明記されている場合でも確実に認められるかは微妙なところだと考えます。
以上、今回は、特殊清掃費用と債務控除について検討させていただきました。
次回もよろしくお願いいたします。
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